今から3年前。2005年。
黒木に昇進の話が持ち上がった。捜査一課では新たに13係を設置、上層部はそのリーダーに黒木を考えているという。事件解決に張り切る黒木。
暴力団員の工藤が殺害。本庁捜査一課7係の黒木らはさっそく売春婦・杏子(池脇千鶴)を拘束。工藤にいいように使われていたらしく動機はある。黒木は佐久間に「徹底的に追い込め」と厳令する。
杏子を張り込む黒木と佐久間。が、佐久間は妻が海外出張のため一人家にいるという母と何度も電話で話している。黒木はそんな佐久間が面白くない。
実は、杏子は黒木が巡査時代に、橋から飛び降りての一家心中から救ってやった少女だった。両親は死亡、施設に預けられた杏子に「困ったときにはいつでも助けに来る」と言った黒木だったが、それきりになっていた。
男に絡まれた杏子を助けた黒木だが、彼女は酷く発熱してる。黒木は勝手に捜査から外れ、付きっきりで看病する。回復しても、セックスで黒木への代償を払おうとし、「何を今さら」と憎しみを露にする杏子だが、杏子は黒木からプレゼントされた人形を大事にしていた。人形を投げ捨てようする杏子の手をつかんだ黒木は、そのまま杏子と唇を重ねる。黒木のやさしさにようやく心を開き始めた杏子は、工藤を殺した犯人を知っているという。が、自分のために殺してくれた犯人を裏切るわけにはいかない、とも。黒木は、あえて杏子を追及しない。
捜査にも参加せず、杏子と関係を持ったことで黒木の出世もフイになってしまった。それでも黒木は杏子にプロポーズ。危険だから刑事は嫌い、という杏子の言葉を聞き入れ、備品係への転属を誓う。
犯人が杏子に接触してきた。杏子から犯人と会う時間と場所を教えてもらった黒木は、緊急招集をかけホテルの一室に乗り込むが、そこはもぬけの殻だった。「愛を裏切った女に報復を」という手紙以外は…。、杏子の部屋では血だらけの杏子が人形を抱えて力なく座っていた。「この世界に…愛は…あるの…」。 それが杏子の最期の言葉になった。
工藤、杏子を殺害した容疑者が浮上したが、容疑者の男は薬のやりすぎで死亡したあとだった。怒りのぶつけ先がない黒木の心は次第に闇へと沈み込んでいく。
被疑者死亡のまま送検し、工藤、杏子殺害事件は一件落着。杏子を失った黒木の心も重症だった。ある日、幼かった頃の杏子の幻影を見てしまう黒木。誘われるように屋上へとあがってしまうと、そのまま空へと身を投げてしまい…。
一方、佐久間は母が半身不随になってしまった。佐久間は自らを責めつつも黒木への不信感を募らせる。
現在。
杏子の幻影を見てしまい、銃を持って迫る容疑者・岡林に追いつめられる黒木。病院で意識を取り戻した黒木は理沙に付き添われながら捜査本部へ。しかし、捜査は終わっていた。
